「悲劇 叡智」

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概要

オラクルに単身跳んだ地球の魔術師、華花瓶が暇を持て余して始めた人形劇。自分の作りだした101体の人形たちに役割と記憶などを与え、アークスシップに展開された固有結界「劇場」を舞台に開かれた。

記憶を奪われ、忌々しい過去を持った双子の兄妹が運命を翻弄した者たちへの復讐を行いながら、次第に互いを愛しあうようになるも最後は殺し合い、相打ちになるという脚本であった。

 

物語各幕内容

第一幕

地球から教団と呼ばれる虚空機関派生組織によって拉致された子供たち。彼らの地獄の日々。

記憶をはく奪され、地球人の生体調査、そして非道な人体実験のためのモルモットにされた子供たちには、温情などという物は与えられることは無い。次々と死にゆく仲間たちと、ただ、ひたすらにその無残な光景を自身もその非道な人体実験によって片目を奪われてなおも、残された左の瞳に焼き付けた瓶鳴の視点で描かれる追憶の物語。

この幕で幼少期の瓶茶が出てくる。瓶鳴と瓜二つな見た目をした妹。この場面の瓶茶は現在瓶茶として認識されている物とは違い、過去の追憶の場面のために用意されたいわば子役。瓶鳴と同時期に作成された真の意味で双子・・・もしくは兄妹に近い人形である。彼女の出番はここで終わり、その後、人形庫の奥で長い事保管されているのを後に瓶鳴が確認した。保管状況が良かったらしく、器陶曰く「魂の書き込みと魔力炉に魔力を投入すれば再起動する」との事。

 

第二幕

アークスによって非道な組織の実態が明かされ、それによって子供たちは救出される。生き残った子供たちはあの惨劇の後、それぞれの道を歩んでいた。瓶茶と瓶鳴・・・彼らは復讐の為に、幾多の子供たちの無念を、自分たちの狂わされた人生の対価を支払わさせるために、修羅の道へと落ちる。

復讐の為にアークスに入った瓶茶と、身体的な理由からアークスにはなれないが、陰から彼女を支援し支える瓶鳴と、虚ろな存在ながらも彼らと同じ復讐の炎を宿した瓶割による、血に濡れた復讐劇の幕開け。影に生き、手段を選ばず、自分たちに刻まれた恐怖を刻み付けた者たちに返していく双子達の物語。

この幕から現在瓶茶と認識されている彼女が登場。惨劇からすでに6年経過したという設定で、この時点で瓶鳴と瓶茶の容姿が双子と思えないほどかけ離れてしまった理由が、瓶鳴は実験の影響で成長が止まってしまったのと、瓶茶は逆に義眼の影響で老化が早まったという設定。ちなみに、瓶割もこの場面から登場し、最初こそは彼女はまさに瓶茶の幼き頃の姿をとっているが、物語の進行と共に瓶茶とも瓶鳴ともかけ離れた別の姿になっていった。

 

第三幕

復讐鬼となった彼らは、自分たちを貶めた憎むべき教団のそのトップとも言うべき存在「教祖」の居場所を突き止める。必ず殺す。それが、無念と共に惨殺された仲間たちへの唯一の手向け。

惑星リリーパの地下にもぐり、再起の時を待っていた教団は、突如何者かの襲撃を受ける。そう、それは、以前自分たちが己が目的の為に攫ったモルモット。か弱き実験動物は、牙を研ぎ、獰猛で滑稽な狩人となっていた。ありとあらゆる手段を用いた残虐極まりない虐殺劇こそ彼らの復讐。自分たちに刻み付けられた恐怖、無念、そして怒り。双子は高らかに吠える。そして、双子は高らかに笑う。地獄に自分たちを落とした者たちを引きずり落とし、その彼らの恐怖の形相をみて虚ろな亡霊は歓喜する。彼らの無念を果たす物語。

山場ともいうべき場面。瓶茶の入念なトラップ設置や狙撃ポイントの確認などの地味な場面から始まって、彼らの悲願である復讐遂行を行う重大な場面である。対人志向性爆弾や有線式トラップなどアークスとは思えない戦法を取る理由が、アークスのようにフォトンに頼った戦術が2人ともそれぞれ義眼の理由から厳しいからである。瓶茶が狙撃、銃火器による突撃、銃剣による近接戦闘を担当し、瓶鳴がトラップの起動、補助テクニックの使用による支援、戦闘に専念する瓶茶へのオペレートを担当しつつ、隙あれば拳銃で攻撃に参加といった形で戦闘を行い、普段肉体を持たない瓶割は接敵した瞬間にフォトンの具現によって姿を現し、文字通り亡霊の如く相手の目の前に突然現れ、恐怖で動けない相手を一方的に切り刻み、もともと戦闘員ではない教団員を血祭りに上げた。しかし、肝心の教祖は既にその場から脱出してしまっていた。

 

第四幕

本当に殺すべき相手を取り逃した無念から落胆する瓶茶、それに寄り添う瓶鳴。どんな苦難も共に乗り越えてきた二人は、次第にお互いに惹かれあっていることに気が付いて、互いを強く求めるようになる愛の場面

しかし、この時に瓶鳴は己の中に誰か別の存在を感じるようになっていた。それは瓶茶との距離が近くなればなるほどにその存在も大きくなって行き、瓶鳴という存在を内側から乗っ取ろうとじわじわと侵食しはじめていた。そうして、ある日、かれは激痛と共に目を覚ました時に自分の右目に埋められた義眼の変異に気が付く。いや、義眼だけではない。鏡に映ったその姿は、そこに映った己は、まさに「怪物」であった。その姿を見た時を最後に彼の意識は黒い闇に沈む。その様子を見ていた瓶割が彼に呼びかけるも彼の意識は既に無く、無残にも瓶割はその霊体を文字通り食われてしまう。そうしてここに、教団が人体実験を繰り返して行おうとしていた本当の目的、教団の神として崇められ、その後朽ちて消えた神「愚者なりし叡智」その再現は顕現する。

双子の絆が愛に変わり、互いを求め合う存在となる場面であり、教団が人体実験等を子供たちに繰り返していた本当の目的が明かされる場面。地球の人間にしか持ち得ない、魔力という力を利用し、朽ちてしまった神の残渣を使って作り上げた義眼・・・いや、魔眼を魔力を使える人間に取り付けることで徐々にその魔力を魔眼に送り込み、神の失われた力を取り戻すための生贄にするという儀式であった。しかし、完全な復活は出来ずに、あくまでもその力を引き継いだ再現体になってしまったが、ここに「愚者なりし叡智」は顕現する。そして、皮肉にも惹かれあった双子は無残にも引き裂かれることになる。

 

第五幕(終幕)

行方をくらませた瓶鳴を求めてさまよう瓶茶。心に空いた穴を埋める事の出来ない彼女は夜な夜な街を徘徊し、居なくなった相方を必死になって探す。どんな時でも傍にいたかけがえのない愛しき存在を。そんな彼女の前に、瓶割が現れる。霊体であるはずの彼女の体は半分以上消失していて、今にも消えそうであった。瓶割は告げる。「かの忌々しき地獄に行け。そこで彼は待っている」そう言って、瓶割は消えてしまった。

彼女は向かう。かの、始まりの地へ。かの、地にて彼女は対峙する。すべての元凶、教祖。そして・・・その奥にある祭壇でまどろむように浮かぶ、愛おしき存在だったモノ。教祖は語る。本当の目的を。自分たちの神話再現を。だがそんな話は瓶茶にとってどうでもよかった。聞こえてくる高らかな誇張を無視して、口も聞かずに教祖を殺害する。そして奥にて変わり果ててしまった瓶鳴だったものに呼びかける。その声虚しく、目覚めた彼はもう答えない。ただ、何も映さない瞳で空を見つめるそれは、すでに目の前に立つ愛おしき存在すら忘却してしまったのだろうか。

瓶茶の必死の問いかけの中、瓶割が再び現れ彼の中に取り込まれ消えかけてゆく己を顧みず、「愚者なりし叡智」の中に沈んでゆく瓶鳴の意識をほんのわずかだけ取り戻してみせたのだ。その対価は自分の消滅だが瓶割にとってはそんな事どうでも良かったのだ。なにせ、自分は瓶茶をいう存在から生まれただけの副産物、もとよりこの世界には存在しない物なのだからと。瓶割の犠牲によってわずかに取り戻した意識で瓶鳴は語る。今まで歩んできた道を、決して幸せとは言い難い、苦難の道ではあったが、満たされていた日々を、まるで懐かしむように彼は語り、その人生を、そして愛を告げる。そして、この体はもうすぐ、「愚者なりし叡智」に完全になってしまう。だから、その前に・・・大切な君の手で殺してほしい。と、擦れた声で最後の力を振りしぼって伝える、最後の別れの詩。その言葉と共に、彼という存在は消えて行った。

ゆっくりとまどろみから目を覚ますそれと向かい合う瓶茶。かけられた言葉、そして脳裏に流れるあの日々を胸に彼女は武器を手に取る。そして

彼女の悲痛な咆哮と共に、ただ一度だけ二つの影が交わった。

最後の幕。復讐の道に生きてきた彼らのツケ。そして最初から呪われていた皮肉や、それでも決して後悔はしなかった自分たちの生き方を総算する場面。瓶鳴が変貌した姿「愚者なりし叡智」はどこで華花瓶が知ったのか、オラクル世界にてその存在を危惧されてきた「深遠なる闇」そのものであり、彼女がその存在をすでに知っていた事を物語る。(劇場の開演はそもそも、オラクルでDFエルダーの封印が解除される少し前、そして原案を作り上げていた時期はさらに前にさかのぼる)最後の場面で二人が交わる場面で終わり、その結末は相打ちになり、人知れず復讐鬼と神の再現はこの世から消えるという物。互いに愛し合い、しかし引き裂かれ、交わることの出来たのは皮肉にも最後の死の場面だけだった。

 

 

結界展開後の出来事

物語の途中で自我に目覚め、己の誰かによって決められたような運命に感づいた瓶鳴の行動によって物語は破綻してしまう。

結局、この物語は瓶鳴が自我を得てイレギュラーを起したため、第二幕が終わる直前に物語が狂ってしまいその後の展開が行えなくなってしまった。物語は崩壊し、その影響でドールズ達の運命が狂うことになった。

 

 

 

 

「悲劇 叡智」内で与えられていた役割

瓶鳴・・・主人公、自分たちの運命を狂わせた者たちへの復讐を繰り返す悲劇の双子の兄。地球からオラクルに拉致され、非道な人体実験を受け記憶を奪われ義眼の力を得る。同じく一緒に拉致された双子の妹に寄り添い、互いに支え合いながら自分たちの運命を翻弄した者たちへの復讐を果たしていくが、失敗作の義眼の力を使う都度に徐々に化け物「愚者なりし叡智」になっていき、最後はその自我を失い共に支え合い、そして愛した妹と殺し合い相打ちになり死亡する。彼の妹と比べて圧倒的に幼い外見の理由は、実験の時に投与されていた薬物の副作用で身体の成長能力を失ったため。

瓶茶・・・もう一人の主人公、自分たちの運命を狂わせた者たちへの復讐を繰り返す悲劇の双子の妹。地球から拉致され、非道な人体実験によって記憶を奪われ生死の境をさまよう。その後、アークスによって救出された彼女と、双子の兄、そして彼女の実験過程で生まれたもう一人の自分と共に己が運命を侮辱し狂わせた者たちへの復讐鬼となって実験によって得た義眼の力で多くの殺害を繰り返す。次第に双子の兄への愛に気が付き惹かれていくも、彼は次第に力に呑まれ化け物と化していき、彼女はせめても愛した存在を自身の手で楽にさせてやろうと彼の殺害を決意し、化け物と化して自我を失った双子の兄だった存在と戦うも、相打ちによって二人は死亡する。

瓶割・・・実験によって投与された薬物の影響で瓶茶の人格が分離、肉体を離れもう一人の瓶茶となった存在。幼いころの瓶茶の姿をした霊体で、フォトンによって肉体を具現化構成する能力を持ち得ていた。瓶鳴、瓶茶と共に復讐劇に加担するも、「愚者なりし叡智」になりかけていた瓶鳴によってその存在を取り込まれてしまう。終盤、取り込まれつつも意識を辛うじて残していた彼女の呼びかけによって瓶鳴の意識をほんのわずかながら取り戻させ、瓶茶にせめてその手で完全な化け物になる前に自分を殺すように伝えさせるという役目を果たした後、完全消滅する。

瓶鉄・・・彼には役割は与えられていない。「悲劇 叡智」において彼の出番はない。

 

「悲劇 叡智」における舞台

教団実験施設・・・第一幕、第五幕。拉致されてきた子供たちに非道な実験を行っていた虚空機関派生組織の実験施設。とあるアークスシップの残骸にカモフラージュされて存在していた。そして、劇最終盤における主人公たち双子の決戦の地。

アークスシップ・・・第二幕~第四幕。実験施設から救出された主人公たちの身を寄せ合い、生活をする場。アークスに救われ、そして復讐の為にアークスになった瓶茶と、それを支える瓶鳴と瓶割の物語の主要の場。

惑星リリーパ・・・第三幕。教団の残党が地下坑道に潜伏していた。瓶茶の復讐による大量虐殺の場となった。研究者ばかりの教団員相手に爆弾による潜伏場所ごとの爆破、遠方からの狙撃、大量のトラップ等により容赦のない惨殺を行った。

マザーシップ・・・本来、この劇では使われる事の無い舞台。

地球、ラスベガス地域・・・本来、この劇では使われる事の無い舞台。

 

 

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